肩こりに葛根湯?
太陽病 項背強ばること几几(きき)
汗なく悪風するは 葛根湯之を主る
(source : 『傷寒論 太陽病篇』)
風邪の引き始めに葛根湯をと思って手に取ると
「かぜ 肩こり 頭痛に~」
「感冒の初期 頭痛 肩こり 筋肉痛 手や肩の痛みに~」
と パッケージに書いてあるのを見て不思議に思ったことってありませんか?
大塚敬節氏の『傷寒論解説』から引用しますと
「・・・だいたいにおいて、葛根湯証では、足の太陽膀胱経に沿って強ばり、または疼痛を訴えるが、手の太陽小腸経に沿って、肩甲関節に向かって、凝ることもある。葛根湯を上膊(じょうはく:肩から手首まで)神経痛や、いわゆる五十肩に用いるのは、これの応用である。腰痛に葛根湯を用いるのも、項背強ばるの応用である・・・」
とあり 頸・肩・腕あるいは腰の痛みにも葛根湯を処方する場合のあることがわかります
でも注意しなくてはならないのは
全ての肩こりに葛根湯が効くわけではないということです
大塚氏によると
「葛根湯は表実証である。頭項強痛が太陽病の一徴候であることは先に述べたが、ここにいう項背強ばるもまた、これの一変形である・・・汗出で悪風は表虚であり、汗なく悪風は表実である・・・汗無しという状を患者で知るには、皮膚にしめりがあるか、ないかをみる。もし頸部、項部、頭部などを撫でてみて、しめりけがあれば、汗無しということはできない・・・」
と 単に頸背中がこわばる理由だけで葛根湯を処方するわけではないと言っています
つまり葛根湯は細かい診察の結果「葛根湯証」の方だけに処方されるべきものなのです
この「証」から外れてしまうと効果がないばかりか別の症状が出てしまうこともあるので
購入の際には薬剤師さんにご相談いただいた方がより安心です
実はこの処方の根拠となる「証」 鍼灸師も使っています
気血の流れが阻まれて 筋肉や関節に痛み しびれ だるさ 重苦しさなどの症状が現れる
この原因を臓腑あるいは経絡に求め問診・切診を行い「証」を立て治療を行う
日本の鍼灸師は薬剤を処方できないため治療は必ず鍼灸で行います
最終的な手法こそ異なりますが
漢方と鍼灸
その治療までの過程は共通のものなのです
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